ステアリング・コミッティ

 何か物事を進める時に「船頭多くして船山に上る」となると何も決められない、ということが起きます。すると以前よりもさらに状態が悪化してしまう、という経験をした人は多いかもしれません。
 そういう時に、関係者から委任され権限を持って決断するなどプロジェクトの方向性を決め進めていく、複数の人たちをステアリング・コミッティ (steering committee )と言います。舵取り委員会とでも訳しても良いかなぁと思います。

 車好きな人ならステアリングが運転するときのハンドルのことと、すぐに思いつくでしょう。ステアリング・コミッティは新たな変革を進めるときや、新規の事業を進めるときなどに立ち上げるものです。ハンドル操作には切りすぎるオーバーステアや、その逆のアンダーステアなどがあってはならないように、経営や組織、プロジェクトの運営にも巧みな舵取りが求められます。

 以前、神戸大学大学院経営学研究科の金井壽宏先生と、国内か米国ボストンだったかステアリング・コミッティの話をした時にステアリングをsteeringとすべきものをstirと綴り、間違えました。
 金井先生は「これ良いね」「ある意味、かき回すことも大事だよね」と笑顔で言ってくださいました。こちらの初歩的な間違いも否定どころか「良いね」と柔らかく受け止めてくれる、明るさと温かさ。優れた研究者はまた優れた教育者であると思いました。

 Stirには,かき混ぜる、…を(かすかに)動かす;…を揺り動かす,そよがす、あるいは
〜を覚醒(かくせい)させる,呼び起こす;〈関心・好奇心などを〉かき立てる((up))なんていう意味と、  また〈人・感情などを〉強く動かす;感動[興奮]させる、という意味もあります。

 それなら、車の運転でもタイヘンなのに経営環境の良くないときの「舵取り」には、あえてstirを使う価値があるかなぁ、と思いながら、これまでの研修や、いくつかのプロジェクトで試しています。
 このファシリテーションの効果は抜群で、stirすると澱みが上がってきて、一瞬は見えなくなってもうまく漉しとることができます。御社でもいかが。

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